ガチ土木

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太陽光架台基礎 ガイドライン2019(杭支持力の設計)

杭の支持力の設計は、土質調査に基づき極限支持力を算出する方法と、杭載荷試験を用いて極限支持力を算出する2種類の方法があります。ガイドライン2019年においては、「杭支持力の実証試験の結果から、試験による支持力は設計計算式から求められる支持力よりも小さくなる傾向にあるため、現地での載荷試験から求めた支持力を用いて、設計することを基本とする。」とされています。ここでは、杭支持力の実証実験について紹介していきます。

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実験内容

試験場所

下図に示す全国 9 ヶ所の試験地、伊賀市長田(三重県)、揖斐川岐阜県)、むつ(青森県)、新庄(山形県)、磐梯熱海福島県)、須賀川市福島県)、串間(宮崎県)、座間(神奈川県)、葛城(奈良県)で杭の実証試験を実施した。各地点で地盤調査スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)を行っています。

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試験杭

試験で使用した試験杭の種類は下図のとおりです。 施工方法は、基本的に打撃貫入とし、スクリュー杭は回転貫入としています。

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養生期間

2週間の養生期間をおいて、杭試験を実施しています。

実験結果

ここでは、周面摩擦力と先端支持力に分けて、N値を用いた理論式と杭載荷試験の値の比較・分析をおこないます。

引抜抵抗力

N値を用いた理論式は告示1113号を用います。

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砂質土と粘性土の周面摩擦力の設計計算値と試験値との関係は下記のとおりです。

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以上の結果より、試験値が設計計算値よりも小さい杭があります。特に、粘性土については今回の試験結果のほとんどの試験値が設計計算値より小さくなっています。

押込み支持力

先端支持力の理論式は樫木のとおりです。

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杭の断面積は、下図のとおり、閉塞100%を考慮しています。


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砂質土と粘性土の押込支持力の設計計算値と試験値の関係は下図のとおりです。

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以上の結果より、 試験値が設計計算値よりも小さくなる傾向にあるが、周面摩擦力ほどは小さくはなっていません。また、設計計算の先端支持力は、先端開放杭と形鋼杭について、全断面積を考慮して求めた方法は結果より妥当であると言えます。ただし、スクリュー杭の先端支持力は考慮していないため、先端支持力を考慮すると過剰な評価になる可能性があります。

まとめ

ここでは、杭支持力の実証実験について紹介してきました。ここでのポイントは下記3点です。

  • 引抜抵抗においては、総じて杭試験値の方が設計計算値よりも小さくなっています。ただ、押込み試験については、杭試験値の方が小さくなる杭があるものの、精度は高いと思われます。
  • そのため、杭の支持力は、N値を用いた理論式ではなく、杭載荷試験に基づき設定する必要があります。
  • 杭先端支持力の閉塞率は、先端開放杭は100%、スクリュー杭は抵抗を見ないものとして評価できます。